「介護職は将来性がない」と聞いて、不安になっていませんか。AIやロボットが入ったら、仕事がなくなるのではと考える方もいると思います。
結論から言うと、介護職の将来性はあるというのが、国や介護の専門家の見方です。
厚生労働省によると、介護が必要な人は今後も増える見込みです。一方で、介護の仕事のなり手は足りず、2023年には介護職員の数が初めて減りました。
厚生労働省の資料によると、国がAIやロボットなどの介護テクノロジーで目指すのは、記録や巡回などの「間接業務」を減らすことです。
浮いた時間は、利用者さんに直接関わる介助に回す考えです。
洗濯や掃除などの周辺業務を任せる人型ロボット(フィジカルAI)も、開発が進んでいます。体に触れる介助は、人が担う方向です。
私は60歳で介護の仕事を始め、今は67歳。特養でパートとして働いて7年目です。職場では2年ほど前、看取りの方のベッドに見守りセンサーを入れました。
この記事では、AIで減る仕事と残る仕事、給料の見通し、見守りセンサーが半年で使われなくなった体験をまとめました。
介護の仕事を続けるか迷っている方の、判断材料の一つになればうれしいです。
結論:介護職の将来性はある。機械が入っても、最後に確かめるのは人

将来性があると言える理由は3つです。
- 介護が必要な人は増え続け、働き手は2040年度までに約57万人増やす必要がある
- 給料は上がっていて、2026年6月にも最大で月1.9万円の賃上げがあった
- AIや機械で減るのは記録や巡回などで、体に触れる介助は人に残る
私の職場でも、それを感じたことがあります。
2年ほど前、見守りセンサーを7〜8台入れました。看取りの利用者さんの呼吸や心拍が、パソコンの画面で分かるシステムです。
それでも、半年ほどで使わなくなりました。今は職員が部屋を回って、直接様子を見ています。
システムが教えてくれるのは、ベッドの上の数字です。部屋に入って様子を確かめるのは、最後は人の仕事です。
「将来性がない」と言われる理由は3つ。給料・人手不足・AIへの不安
給料は安いと言われる。国の調査では上がってはいるが、他の仕事との差はまだある

介護の仕事は給料が安い、とよく言われます。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにした資料では、2025年の介護職員の給与は月31.4万円でした。前の年より1.1万円上がっています。
ただ、全産業の平均(役職者を除く)は39.6万円です。差は8.2万円で、前の年(8.3万円)からほとんど縮まっていません。
※金額は賞与の一部を含みます。
2026年6月には、国が介護の給料を上げるために介護報酬を見直しました。
介護の仕事をする人全体に月1万円ほど、ICTや見守り機器の活用などに取り組む事業所の介護職員には、さらに上乗せがあります。
合わせて最大で月1.9万円の賃上げです(定期昇給分を含む)。
国は、2027年度の改定でも物価や賃金の上がり方を反映するとしています。
人が足りず、一人の負担が重い。そのぶん働き手は求められている

厚生労働省が第9期介護保険事業計画をもとにまとめた推計では、介護職員は2026年度に約240万人、2040年度に約272万人必要です。
2022年度の約215万人から、2040年度までに約57万人増やす必要があります。
人が足りないと、一人あたりの仕事は重くなります。「きつい」「将来性がない」と言われる理由の一つです。
裏を返せば、それだけ働き手が求められているということです。
介護の仕事はきつい?|67歳・特養パートが6時間で感じる5つのきつさ
AIやロボットに仕事を取られる不安がある。国は機械の導入を進めている

2024年、厚生労働省と経済産業省は「介護テクノロジー利用の重点分野」をまとめ、2025年4月から運用を始めました。
介護ロボットやICTなどを使って、職員の負担を減らすのがねらいです。
その中には「見守り・コミュニケーション」という分野があり、施設での見守りも入っています。
AIやセンサーが入れば、人はいらなくなるのでは。そう心配になるのは自然なことだと思います。
介護経営のコンサルタントの小濱道博さんは、介護ニュースサイト「Joint」の記事(2026年3月3日)で、生成AIについてこう書いています。
「AIは思考における補助装置であり、最終判断者ではない」
記録や文書づくりはAIが手伝っても、最後に決めるのは人だということです。
厚生労働省は、介護の仕事を「直接介護」と「間接業務」に分けて考えています。AIや機械で減らすのは、主に間接業務です。
| 主な仕事 | |
|---|---|
| AIや機械が手伝い、減っていく仕事 | 記録・申し送り 計画書の下書き 夜の巡回の一部 洗濯・掃除・片付け |
| 人に残る仕事 | 移乗・排泄・入浴などの介助 会話や気持ちのくみ取り 認知症の方への対応 AIが作った下書きの確認と最終判断 |
表の中身は、厚生労働省の調査で使われている仕事の分け方と、国の会議資料、人型ロボットの開発計画をもとにまとめました。
私の職場でも、見守りセンサーを入れたことがあります。次に、その結果を書きます。
私の特養では、業務改善の一つとして見守りセンサーを入れた
管理職が中心になり、数年前から業務改善を進めてきた

私の施設では数年前から、業務改善を進めています。目的は、サービスの質を上げることと、仕事の無駄を減らすことです。
中心になっているのは、事務所の管理職です。見守りセンサーは、その取り組みの一つでした。
対象は看取りの利用者さん。7〜8台をベッドに入れた
センサーを入れたのは2年ほど前です。看取りの利用者さんのベッドに、7〜8台を付けました。
マットレスの下に敷く、シート状のセンサーです。利用者さんの体には何も着けません。
呼吸・心拍・眠りがパソコンで分かり、危ない時はアラームが鳴る

この種類のセンサーでは、呼吸数や心拍数(どちらも推定値)、眠っているか起きているか、起き上がりやベッドから離れたことが分かります。
職場では、パソコンの画面でその様子を見られるようにしていました。危ない状態になると、アラームが鳴る設定です。
部屋に行かなくても、看取りの方の様子が分かる。そういう仕組みでした。
最初に見た時は「便利なものができた」と思った
初めて画面を見た時、確かに便利なものができたと思いました。
使われなくなった理由は3つ。4人部屋の巡回・自分の目での確認・推進役の退職
4人部屋なので、ほかの方を見る巡回はどのみち必要だった

看取りの方も、基本は4人部屋で過ごします。夜間も、同じ部屋のほかの利用者さんの様子を見るため、定期的な巡回が要ります。
センサーが見ているのは、付けた方一人分だけです。巡回そのものは減りませんでした。
部屋に入るなら、結局は自分の目で確かめるようになった
巡回で部屋に入れば、看取りの方の様子もその場で見られます。
いよいよという時は、個室に移ってもらいます。事務作業をするパソコンの近くの部屋で、職員が様子を見やすい場所です。
職員は結局、直接様子を確かめるようになりました。センサーは、いつの間にか使われなくなりました。
私自身、アラームで駆けつけたことは一度もありません。
推進役の職員が辞めて、そのままになった
センサーの導入を進めていたのは、一人の職員でした。
その方が退職したこともあって、今は使われないままになっています。
見守りセンサーと定期巡回を比べると、4人部屋では巡回が欠かせない
| 見守りセンサー | 定期巡回 | |
|---|---|---|
| 分かること | 呼吸数・心拍数(推定値)、眠り、起き上がり、離床 | 部屋にいる全員の様子 |
| 見える範囲 | 付けた方一人 | 同じ部屋の4人 |
| 知らせ方 | 危ない時にアラーム | 職員が自分で気づく |
| 私の職場では | 半年ほどで使わなくなった | 今も続けている |
4人部屋では、ほかの方を見る巡回がどのみち必要です。センサーだけでは、巡回を減らせませんでした。
今の現場は、離床センサーとナースコールで足りている

私の施設のベッドには、もともと離床センサーとナースコールが付いています。ベッドから離れた時や、利用者さんが職員を呼びたい時は、これで分かります。
今のところ現場では、新しい見守りセンサーが必要だという声は出ていないようです。
よくある質問
Q. AIで介護の仕事はなくなりますか?
A. なくならない、というのが国や介護の専門家の見方です。AIや機械で減るのは記録や巡回などの間接業務で、体に触れる介助は人が担います。
私の職場では、見守りセンサーを入れた後も、利用者さんの様子は職員が部屋に入って確かめています。
Q. 見守りセンサーがあれば、夜の巡回は減りますか?
A. 4人部屋の私の職場では、減りませんでした。センサーが見るのは付けた方一人分で、同じ部屋のほかの方を確かめるのに巡回が要るためです。
Q. センサーのアラームで駆けつけたことはありますか?
A. 私は一度もありません。
Q. 60代からでも介護職は続けられますか?
A. 私は60歳で始めて、67歳の今も続けています。週24時間というペースです。続け方は、別の記事にまとめました。
介護職は何歳まで働けるのか ― 67歳・7年目、週24時間という続け方
まとめ:機械が入っても、介護の仕事は人の目で成り立っている
- 「将来性がない」と言われる理由は、給料・人手不足・AIへの不安の3つ
- 給料は上がってきているが、他の仕事との差はまだある。2026年6月には最大で月1.9万円の賃上げ
- 働き手は2040年度までに約57万人増やす必要がある
- AIや機械で減るのは記録や巡回などの間接業務。体に触れる介助は人に残る
- 私の特養では見守りセンサーを入れたが、4人部屋の巡回は減らず、半年ほどで使わなくなった
- 機械が入っても、利用者さんの様子を確かめるのは人
今の職場の先行きが気になる方は、ほかの施設の求人を見ておくのも一つです。
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