介護の仕事は、きついのだろうか。始める前の方も、今まさに働いている方も、一度は考えることだと思います。
私は67歳です。60歳で定年退職したあと、未経験で介護の仕事を始めて、7年目になります。今は特別養護老人ホームで、8時から14時までのパート。週4日です。
先に答えを書きます。きついのは本当です。ただ、きつさは一日じゅう同じではありません。きつい場面は、だいたい決まっています。
この記事では、私の6時間のうち、どこがきついのかを順番に書きます。あわせて、7年続けてこられた工夫も書いておきます。
私の6時間 ― どこがきついのか
8時から14時まで、休憩なし

まず、私の一日の流れです。
| 時間 | 仕事 | きついところ |
|---|---|---|
| 8時 | 着替え、食事の配膳と食事介助 | 厨房と食堂を何往復もする |
| 午前 | 入浴介助(お一人30分ほど) | 暑さ、中腰、濡れた床 |
| 入浴のあと | 看護師さんと傷のケア、着替え | 新人のうちは、きちんと説明しないと傷の犯人扱いされることがある |
| 昼 | 昼食介助 | 人手がないと、5分ほどで介助しなければいけない場面がある |
| 昼 | オムツ交換 | 生理的に無理な人もいる。そういう方には向かない仕事 |
| 合間 | 車いすでの移動、トイレ介助、見守り | 立って歩きつづける |
| 14時 | 退勤 | 6時間、休憩はない |
6時間、休憩はありません。そういう契約なので、そこは割り切っています。
6時間で、1万2千歩

一度、1か月分の歩数を測りました。勤務日は1日およそ1万2千歩、7.5kmでした。
私の職場には、自分で歩ける利用者さんがいません。移動はすべて車いすです。利用者さんが動く距離は、そのまま私たちが歩く距離になります。
測った記録は、介護職に体力はどれくらい要る?67歳が月120km歩いた記録に書きました。
67歳の私が感じる、5つのきつさ
1. 夏の入浴介助 ― 浴室はサウナに近い

いちばん体を使うのが、入浴介助です。
利用者さんを車いすから入浴用のチェアーやストレッチャーに移し、体の様子を見ながら全身を洗います。お一人30分ほど。それが途切れずに続きます。
夏の浴室は、クーラーがあっても暑い。汗が止まりません。正直に言うと、脱水になりかけたことがあります。
夢中で動いていると、自分の水分は後回しになります。
入浴介助の暑さと服装のことは、夏の入浴介助がきつい ― 67歳の服装・足元・腰の守り方にまとめています。
2. 移乗 ― 人を抱える場面が続く

特養は、ベッドから車いすへ、車いすから浴室のチェアーへと、移っていただく介助が多い職場です。
人を抱える場面が続くと、腰に来ます。今の職場では、ほぼ全員がコルセットをして働いています。
私自身も、腰の持病を抱えたまま働いています。
3. 休憩なしの6時間 ― 立って歩きつづける
一つひとつの仕事は、短い距離の移動です。居室から食堂へ、食堂から浴室へ。ただ、それが6時間続きます。
仕事が終わると、足がパンパンになります。明日に備えて、家に帰ってからのマッサージとストレッチは欠かせません。

介護の仕事に要る体力は、まずこの「6時間、立って歩きつづけられる体力」だと思っています。
4. 排泄介助 ― 人がいないと、その場を離れられない

どこの職場も、人手が足りていません。誰か一人が休むと、その日の現場がまるごと重くなります。
そういう日に困るのが、排泄介助です。
ある日、食堂で、利用者さんが排便をもよおされました。トイレにお連れして座っていただくと、上着もズボンも、すっかり汚れていました。
急いで体を拭いて、着替えていただかなければいけません。ただ、着替えは居室にあります。取りに行くには、その場を離れることになります。
その方には認知症があります。ひとりにすると、どんな動きをされるか分かりません。まわりに、ほかの職員もいませんでした。
こういうときが、いちばん困ります。きついです。
しかたがないので、誰かが来るまで待ちました。来てくれた職員に、少しの間の見守りをお願いして、居室に服を取りに戻りました。今も、こういうときはそうしています。
5. 人のこと ― ぶつかり合いと、事故のあと
きれいごとばかりではありません。
人間関係でこたえることは、普通にあります。狭い場所で、忙しい仕事をこなさなければいけません。ぶつかり合いは、どうしても出てきます。
自分はまともに動けないのに、上から目線で指示をしてくる中高齢の社員もいます。どこの職場にも、こういう人はいるものです。
もう一つこたえたのは、事故です。見守りをしている最中に、利用者さんがリクライニング車いすからずり落ちて、腰を打たれたことがあります。病院を受診し、骨折などはありませんでした。
それでも、そのときは「もう無理かな」と思いました。
きつさを減らすために、続けていること
きつさは、なくなりません。ただ、減らすことはできます。私が続けていることを書きます。
働く時間を、体に合わせる
最初はフルタイムでした。7年のあいだに2回減らして、今の週24時間に落ち着いています。
| 時期 | 1日 | 週 | 週の合計 |
|---|---|---|---|
| 最初の3年 | 8時間 | 5日 | 40時間 |
| 63歳ごろから | 8時間 | 4日 | 32時間 |
| 65歳から今 | 6時間 | 4日 | 24時間 |
時間の決め方は、介護職は何歳まで働けるのか ― 67歳・7年目、週24時間という続け方に書きました。
水筒を1本、持って出る

水分は意識して取るようにしています。水筒を持って出勤し、6時間で1リットル近く飲みます。
困ったら、少しの間だけ頼む
一人ではどうにもならない場面があります。そういうときは、来てくれた職員に、少しの間の見守りを頼みます。排泄介助のときも、そうしました。
重い方の介助は、2人かリフトで
体の重い方の介助は、2人で行うか、リフトを使います。施設の方針なので、それを守ります。
靴と筋トレで、体を支える
1日1万歩を超えるので、足元は大事です。靴とインソールは、履いた感覚で選んでいます。介護職の靴の選び方にまとめました。
仕事をしているだけでは、移乗の力は落ちていきます。週2回、ジムで筋トレをして補っています。
腹の立つ相手とは、まともにぶつからない
上から目線の人には、さすがに腹が立つこともあります。それでも、まともにぶつからず、受け流すようにしています。
パートとして、どこまで引き受けるかの線引きは、介護パートの仕事はどこまでする?に書きました。
それでも、続けている理由
「ありがとう」の一言
6時間動き続けられるのは、利用者さんの一言があるからです。
「ありがとう」。
たったこれだけの言葉に、こちらが助けられています。
帰りの一杯のコーヒー

14時、施設を出ます。タバコは吸わないので、向かうのは、ゆっくりコーヒーを飲む時間です。
タバコをやめたときのことは、禁煙して何年たっても吸いたいのは普通|1日1箱23年の私は2年で消えたに書きました。
その一杯で、体の力がふっと抜けます。今日も動けた。そう思える瞬間です。
きつさは、職場によって変わる
同じ介護でも、きつさの中身は施設の種類でかなり違います。
私が今いる特養は、移乗と入浴介助が多く、体の負担が大きい職場です。以前いたデイサービスは、体の負担は軽めでした。そのかわり行事が多く、準備が大変でした。
今のきつさが、仕事そのものから来ているのか、職場から来ているのか。一度分けて考えてみると、次の一手が見えてくると思います。
私が4つの職場で見てきたことは、介護パートが続かない4つの理由に書いています。
職場を変えることも考えているなら、介護専門の求人サービスで、どんな職場があるか見ておくのも一つです。
よくある質問
Q. 60代・未経験でもできますか?
私は60歳で、未経験から始めました。今の職場には、73歳で夜勤に入っていた方や、83歳で週2回、2時間だけ入っている方もいます。まず要るのは、勤務時間のあいだ立って歩きつづけられる体力だと思います。
Q. いちばんきついのは何ですか?
体にいちばんこたえるのは、夏の入浴介助です。暑さと中腰が重なります。いちばん困るのは、人がいないときの排泄介助です。
Q. パートでも、きついですか?
きついです。私の職場では、入浴介助はパートが中心です。ただ、働く時間を選べるのはパートのよいところです。
Q. 辞めたくなったら、どうすればいいですか?
その困りごとが、職場が変われば消えるものかどうかを、まず考えてみてください。腰を痛めているなら、辞める前に休むという選択もあります。介護職の腰痛|辞める前に休むという選択と傷病手当金に書きました。
まとめ
介護の仕事は、きついです。私の場合、きついのは夏の入浴介助、移乗、休憩なしの6時間、人がいないときの排泄介助、そして人のことでした。
ただ、きつさは減らせます。働く時間を体に合わせる。水を飲む。困ったら少しの間だけ人に頼む。重い方は一人で抱えない。足元と体を整える。
そして、利用者さんの「ありがとう」と、帰りの一杯のコーヒーがあるから、67歳の今も続けられています。

