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親の長生きが迷惑と感じたら限界のサイン|認知症の親を見てきた特養職員の体験

自宅の台所で、お茶を手に座る60代の男性(イメージ) 介護の仕事と体づくり

「認知症の親を自宅で介護していて、もう限界かもしれない」

「長生きが困る、迷惑とまで思ってしまう自分は、冷たいのだろうか」

「施設に預けたいのに、見捨てるようで踏み切れない」

どんなに親を思っていても、そんな気持ちになるときはありますよね。自宅での介護には限界があります。

私は67歳で、特養で介護の仕事を始めて7年目です。家族としては、義理の姉を妻と自宅で数か月介護しました。認知症の祖母を、特養に5年預けたこともあります。

この記事では、自宅介護の限界と、施設に預けたあとの家族の変化、疲れたときに頼れるところを順番にまとめました。

読み終えるころには、自分を責めずに、次に誰へ相談すればいいかが分かります。

結論から言うと、自宅で介護していて「長生きが困る」と思うのは、限界のサインです。施設に預ければ、自宅での介護から解放されます。自分を責めなくていいのです。

「長生きが困る・迷惑」は限界のサイン。自分を責めなくていい

夜の台所で、額に手を当てて疲れている50代の女性。奥の部屋で高齢の女性が眠っている(イメージ)
※画像は生成AIで作成したイメージです

自宅で認知症の親を介護していて「長生きが困る」と思うのは、限界のサインです。親を嫌いになったからではありません。自宅での介護が、限界に近づいているのです。

認知症の介護は毎日続き、いつまで続くのか分かりません。気持ちが先に疲れてしまうのは、そのためです。

私の祖母は、実家で母が介護していました。祖母の認知症が進み、母も高齢で、老老介護でした。

Yahoo!知恵袋にも、「認知症の家族が長生きで、家族全員が疲れている」という相談があります。同じように悩んでいるのは、あなただけではありません。

「長生きが困る」は、冷たい家族の言葉ではなく、限界を知らせるサインです。

自宅介護は精神的に限界になる|義理の姉の介護で分かった

居間のテーブルで、薬ケースを前に高齢の女性を見守る60代の夫婦(イメージ)
※画像は生成AIで作成したイメージです

自宅での介護は、親を思う気持ちがあっても、疲れて精神的に限界になります。

9年ほど前、義理の姉を、妻と一緒に自宅で数か月介護しました。遠方で一人暮らしをしていた義姉が、認知症で、糖尿病の薬の管理ができなくなったからです。

夜のトイレや入浴などの介助は、妻が行いました。私は、妻が不在のときの見守りが主でした。

ところが、目を離した隙に、義姉が外出してしまうことがありました。

しばらくして、見知らぬ人から私の携帯電話に、「おばあちゃんが道に迷って困っている」と電話がありました。

私はすぐに迎えに行きました。こういうことが、数回ありました。

住宅街で道に迷った高齢の女性に、通りがかりの女性が声をかけている(イメージ)
※画像は生成AIで作成したイメージです

「一人で出かけないで」と言っても、すぐに忘れてしまうようでした。自宅に鍵をかけても、自分で開けて外出してしまいました。初めての対応で、苦労しました。

夜の玄関で、高齢の女性が自分で鍵を開けている。奥で男性が驚いている(イメージ)
※画像は生成AIで作成したイメージです

介護してみて、一人暮らしは無理だと、よく分かりました。

数か月でも、自宅で介護するのは大変でした。何年も続く介護なら、家族が限界を感じるのは自然なことです。

施設に預ければ解放される|祖母のときもそうだった

特養の食堂で、車いすの高齢の女性と家族が穏やかにお茶を飲んでいる(イメージ)
※画像は生成AIで作成したイメージです

施設に預ければ、自宅介護の負担からは解放されます。

祖母は、私が50歳のころ特養に入りました。そのとき、母も私たち家族も、正直ほっとしました。祖母はその特養で5年暮らしました。

入所後は、家族の表情が和らぎます。私もそうでした。自宅で介護するのは、無理だったからです。

祖母が入所してからは、ほぼ毎週末に面会に通いました。私は面会が苦になりませんでした。でも、妻や家族はそうではなく、気持ちに温度差がありました。

週末、紙袋を持って介護施設の入口へ歩いていく60代の男性(イメージ)
※画像は生成AIで作成したイメージです

私は、家族との温度差を理解するのに時間がかかりました。家族でも、感じ方は同じではありません。

施設に預けることは、家族を見捨てることではありません。家族を続けるための選択です。

預けても「長生きして」の気持ちは変わらない

特養の食卓の席に、ラミネートした家族の手紙が立てかけてある(イメージ)
※画像は生成AIで作成したイメージです

施設に預けても、家族が長生きを願う気持ちは変わりません。

私の職場では、複数の利用者さんの席に、ラミネートした家族の手紙が立てかけてあります。「いつまでも元気で長生きして下さい」という手紙です。

離れて暮らしていても、家族は利用者さんのことを思っています。

長生きを願う気持ちと、自宅での介護はもう限界だという気持ちは、同じ家族の中にあります。どちらも本物です。

あわせて読みたい:特養はかわいそう?家族はほっとした|祖母を5年預けた家族と特養職員の本音

疲れ切る前に、ケアマネや介護サービスに頼る

窓口で、50代の女性が職員に介護の相談をしている(イメージ)
※画像は生成AIで作成したイメージです

認知症の介護がいつまで続くかは、誰にも分かりません。だから、疲れ切る前に、ケアマネや介護サービスに頼ってください。頼る順番は、次のとおりです。

  1. ケアマネジャー
    介護サービスの計画(ケアプラン)を作る人です。担当がいれば、まず相談します
  2. 地域包括支援センター
    市町村が設置している、高齢者の総合相談窓口です。担当のケアマネがいなくても相談できます
  3. デイサービス・ショートステイ
    デイは、通っている間の食事や入浴などを職員が支援します。
    ショートステイは、短い期間だけ施設に泊まるサービスで、国の説明でも目的の一つに「家族の介護の負担軽減」が入っています
  4. 施設
    家で続けるのが難しくなったときの選択肢です

担当のケアマネがいないときは、まず地域包括支援センターに電話してください。

親が離れて一人で暮らしていると、毎日様子を見に行くことはできません。そんなときは、見守りの機器を使う方法もあります。

たとえば「見守りプラス 認知のアイシル」は、部屋に置くセンサーで生活の様子を見守り、いつもと違うことがあると家族に知らせる仕組みです。押しボタンの使い方の変化から、もの忘れの始まりに気づくきっかけにする機能もあります。ただし、認知症かどうかを判定するものではありません。

費用は初期費用21,780円、月額2,178円(どちらも税込)です。家にネット環境が必要です(ルーター付きのプランもあります)。

見守りプラス 認知のアイシルの公式サイトを見る

カメラで様子を見たい場合は、ソニーの「MANOMA 親の見守りセット」もあります。室内カメラ1台と、ドアなどの開け閉めを知らせるセンサー2個のセットで、スマホから今の様子を映像で確かめたり、声をかけたりできます。家族は最大7人まで一緒に見守れます。

費用は初期費用1,650円、2か月目からは月額3,278円(どちらも税込)です。契約期間の縛りや違約金はありません(初期設定の代行を頼んだ場合は別です)。家にネット環境がない場合は、Wi-Fiも一緒に申し込めます(月額2,200円)。

MANOMA(マノマ)「親の見守りセット」

参考:厚生労働省「地域包括支援センター」/厚生労働省 介護サービス情報公表システム「通所介護」/厚生労働省 介護サービス情報公表システム「短期入所生活介護」

お金がなくても相談できる|まずケアマネか地域包括支援センターへ

相談員から説明を受ける50代の夫婦(相談のイメージ)
※画像は生成AIで作成したイメージです

お金が心配でも、あきらめずに、まずケアマネか地域包括支援センターに相談してください。費用を軽くする制度があるからです。

知恵袋には、「施設に入れる費用がない」という悩みもあります。まず、特養の費用の目安を見てみます。特養は、ほかの施設と比べると安いです。

国の試算では、要介護5の人が1割負担で30日入所した場合、1か月の目安は次のとおりです。

部屋1か月の目安
相部屋(多床室)約11万円
個室(ユニット型個室)約14万7,000円

※施設サービス費・居住費・食費・日常生活費(約1万円)を含む試算です。所得によっては2割・3割負担になります。

費用を軽くする制度は、2つあります。

  • 食費・居住費の軽減
    所得や資産が一定以下の施設入所者には、負担限度額を超えた居住費と食費が、介護保険から支給されます。
    利用には「負担限度額認定」が必要で、申請先は市区町村です
  • 高額介護サービス費
    1か月の利用者負担の合計が、所得区分ごとの上限額を超えたとき、超えた分が支給されます。申請先は市区町村です

対象になるかどうかは、所得や資産で決まります。窓口で、親が対象になるかを聞いてみてください。

参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」

家での介護が難しくなったら、施設を考える時期

介護施設の廊下で、職員が家族を案内している(見学のイメージ)
※画像は生成AIで作成したイメージです

家での介護が難しくなったら、施設を考える時期です。目安は3つあります。

  • 家族が疲れ切って、続けられない
  • トイレが一人でできなくなった
  • 目を離すと外出して道に迷う、薬の管理ができないなど、一人暮らしが難しい(義理の姉のときがそうでした)

施設は、主に次の3つから選べます。

  • 特養
    費用が安く、新しく入れるのは原則として要介護3以上です。空きを待つことがあります
  • 介護付き有料老人ホーム
    要介護1・2でも入れるところがあります。費用や条件はホームごとに違います
  • グループホーム
    認知症の人が少人数で暮らします。要支援2以上の認定を受けた人が使えます

私の職場は特養なので、有料老人ホームのことは、見学で確かめてください。

特養にすぐ入れないときは、まずケアマネか地域包括支援センターに相談してください。待つ間は、ショートステイや老健、有料老人ホームを使う方法もあります。

あわせて読みたい:親の介護で下の世話ができないのは当たり前|頼れる先と施設の目安

あわせて読みたい:「いい施設」は外からは見えない ― 特養で見た、人間関係がこじれる仕組み

参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護老人福祉施設」「特定施設入居者生活介護」「認知症対応型共同生活介護」

よくある質問

Q. 認知症の親が長生きで困ると思うのは、冷たいですか?

A. 冷たくありません。自宅で介護して限界になるのは、自然なことです。

Q. 施設に預けるのは、見捨てることですか?

A. 見捨てることではありません。家族が続けられなくなったときの選択肢です。祖母は特養で5年暮らし、家族はほっとしました。

Q. 何から始めればいいですか?

A. 担当のケアマネか、地域包括支援センターに電話してください。お金が心配なときも、同じ窓口か市区町村で聞けます。

まとめ:「長生きが困る」は限界のサイン

施設で、車いすの母と手を取り合う娘(面会のイメージ)
※画像は生成AIで作成したイメージです

自宅で介護していて「長生きが困る」と思っても、自分を責めなくていいのです。

  • 自宅介護は、親を思う気持ちがあっても精神的に限界になる
  • 施設に預ければ、自宅での介護から解放される。預けても、「長生きして」の気持ちは変わらない
  • 頼れるところは、ケアマネ、地域包括支援センター、デイ・ショート、施設の順に使う

疲れ切る前に、頼っていいのです。まずは、地域包括支援センターか担当のケアマネに、電話するところから始めてみてください。

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