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介護の人員配置基準3対1はおかしい?【特養の勤務表】朝は1人で35人の日も

介護の人員配置基準3対1はおかしい?特養の勤務表で数えたら朝は1人で35人 介護の仕事と体づくり
  • 「基準は守っている」と言われるのに、毎日人が足りない
  • ナースコールとトイレ介助が重なって、誰かを待たせてしまう
  • 3対1が4対1になったら、もう回らない

こんな気持ちになりますよね。

人が足りないのに「基準は満たしている」と言われると、自分の動きが悪いのかと思ってしまいます。でも、原因は一人ひとりの力ではありません。基準が実態と合わないことにあります。

私は60歳で介護の仕事を始め、いまは特養のパートで7年目です。

この記事では、勤務表で時間ごとの配置人数を調べた結果をお知らせします。

読むと、3対1の本当の意味と全国の現状が分かり、上司に何をどう伝えればいいかが分かります。

人が足りないと感じるのは、あなたのせいではありません。3対1は、仕事に必要な人数ではなく、施設を開くための「最低ライン」だからです。

明るいデイルームで職員と車いすの利用者がお茶を飲みながら話している
※画像は生成AIで作成したイメージです

介護の人員配置基準3対1は「最低ライン」|仕事が回る人数ではない

人員配置基準3対1の図。入所者3人に職員1人は施設を開くための最低ライン

特養の人員配置基準3対1は、施設を開くための最低ラインです。仕事が無理なく回る人数を決めたものではありません。

国の決まりでは、介護職員と看護職員を合わせて、入所者3人に1人以上を置くことになっています。

数え方は「常勤換算」です。職員全員の勤務時間を足して、常勤1人分の時間で割ります。パートも、働いた時間の分だけ数に入ります。

基準を下回ると、施設は介護報酬を減らされます。だから施設は、基準を割らないように職員を置きます。ただ、それは「足りている」という意味ではありません。

出典:特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準 第12条(厚生労働省)

人員配置基準の計算方法|24時間で見ると職員1人で約13人

24時間にならした職員1人あたりの入所者数。国の基準約13人、私の職場約10人、全国平均約9人

「入所者3人に職員1人」と聞くと、職員が3人ずつ受け持つように感じます。でも、24時間で見ると、職員1人で約13人を受け持つ計算です。

3対1の職員の数には、夜勤する人、その日が休みの人、年休の人も入っています。

施設は24時間、毎日動いています。1人が働くのは週40時間ほど。1週間は168時間です。だから、同時にいる職員はずっと少なくなります。

全国の特養は、実際には基準より多く職員を置いています。厚生労働省の調査では、従来型(多床室)で入所者2.2人に1人、ユニット型で1.9人に1人でした。

計算のしかた(国の基準・入所者35人の場合)

  1. 職員の数:35人 ÷ 3 = 11.7人(約12人)
  2. 1週間の勤務時間の合計:11.7人 × 40時間 = 約467時間
  3. 同時にいる職員:467時間 ÷ 168時間(24時間 × 7日)= 約2.8人
  4. 1人で見る人数:35人 ÷ 2.8人 = 約13人

まとめると、「何人に1人」× 4.2(168時間 ÷ 40時間)で出せます。国の基準なら、3 × 4.2 = 12.6で、1人で約13人です。

全国平均の2.2人でも、24時間で見ると1人で約9人です。私の職場は、基準より多く、全国平均より少ない配置でした。

出典:介護給付費分科会 第260回 資料1(厚生労働省・令和5年介護事業経営実態調査)

特養の勤務表で数えた実態|夜勤は2人、朝は1人で35人の日も

私の職場の10月の勤務表で、実際に出勤していた人だけを数えました。休憩を除いた実働では、平均約2.9人。1人で約12人を見ていました。

上のグラフの約10人は、年休の人も含めた配置から計算した数字です。実際に出勤していた人で数えると、職員はさらに少なく、1人で見る人数は約12人に増えました。

特養の時間帯ごとの職員の人数。朝9時から10時半は1人の日もあった

夜勤は毎日、準夜勤(15時〜24時)が2人、深夜勤(0時〜9時)が2人でした。夜は2人で35人、1人で17.5人を見ます。

一番手薄なのは、朝9時から10時半です。夜勤の2人が9時に帰り、遅番が10時半に来るまでの時間です。

10月は、この時間が2人の日が5日、1人の日が1日ありました。1人の日は、35人を1人で見ていたことになります。

同じような場面は、これまでにも何度かありました。

ちなみに私の職場は、3対1も夜勤の人数も、施設全体で国の基準を満たしています。基準を守っていても、時間帯によっては1人になる。勤務表で時間ごとの配置人数を調べていくと実態が見えてきました。

人が少ない日は優先順位で動くしかない|入浴は清拭に切り替わる

人が少ない日は優先順位で動き、入浴が清拭に切り替わる

人が少ない時間は、全部に同時には対応できません。見守り、ナースコール、トイレの対応が重なると、優先順位をつけて動くしかありません。

待ってもらう人が出ます。当然、転倒などのリスクがあります。

配置人数が少ない日は、入浴の対応もできなくなります。

私の職場では、入浴は基本、週2回できています。でも、職員が病気などで数日休むと、できなくなります。その場合は、体をふく「清拭(せいしき)」に切り替えます。

国の決まりでは、入浴は「1週間に2回以上、入浴させるか、清拭する」となっています。清拭に切り替えること自体は、決まりの範囲です。

それでも、利用者さんはもちろん入浴がいい。3対1を満たしていても、人が少なければ、できるはずのケアが削られます。

出典:特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準 第16条(厚生労働省)

60代の男性介護職員が車いすの女性と目線を合わせて話している
※画像は生成AIで作成したイメージです

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特養の64%が職員不足|おかしいと感じるのは自分だけではない

全国の特養の64%が職員不足と回答

人が足りないと感じているのは、あなたの職場だけではありません。

福祉医療機構の2025年10月時点の調査によると、特養の64.0%が「職員が不足している」と答えています。

項目結果
職員が「不足している」64.0%
不足している施設の平均不足人数5.5人
不足への対応「残業を増やして対応」52.7%
人手不足で入所の受け入れを制限13.7%

不足の理由で多かったのは、「他の仕事より低い賃金」77.9%、「不規則な勤務」53.5%でした。

多くの特養が、基準より多く職員を置いても足りないと感じています。おかしいと感じるのは自然なことです。

施設が人を増やしにくいのにも理由があります。収入は国が決めた介護報酬で、人件費はその約64%。もうけは1.4%しかありません。

人を増やせば1人あたりの給料が下がり、給料が低ければ人が集まらない。施設も動きにくいのです。

出典:2025年度 特別養護老人ホームの人材確保に関する調査(福祉医療機構)/令和7年度介護事業経営概況調査結果(厚生労働省)

4対1への緩和は特養では決まっていない|次の議題は夜間の見守り機器

人員配置基準の緩和は介護付き有料老人ホームだけの特例。特養は3対1のまま

「3対1が4対1になる」という話を聞いて、不安になった人もいると思います。特養の基準は、今も3対1のままです。

2024年度の改定で決まったのは、介護付き有料老人ホームだけの特例でした。

見守り機器などを複数使い、職員の負担が減ったことをデータで示した施設は、「3対0.9」まで減らせます。

この特例を使っている施設は、全国で27施設だけでした(2026年1月時点)。

次の改定(2027年度)に向けて、国の会議では「夜間に見守り機器を使った場合の方策」が議題になっています。まだ決まったことではありません。

私の職場にも見守りセンサーがあります。インカムは、これから入る予定です。

出典:介護給付費分科会 第263回 資料2(厚生労働省)

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人が足りないと感じたら、まず上司に「時間と人数」で伝える

勤務表を見ながら上司と職員が人数について話している
※画像は生成AIで作成したイメージです

人が足りないと感じたら、まずは上司に伝えましょう。「大変です」だけでは、どのくらい足りないのかが伝わりません。「〇時〜〇時は〇人」と時間と人数で伝えると、上司も状況をつかみやすくなります。

私も、人が足りないことは日ごろから上司に伝えています。

伝える前に、勤務表を使って次の3つの順で整理します。

  1. 勤務表を見て、時間ごとに何人いたかを書き出す
  2. 一番少なかった時間と、その日にできなかったことを書く(例:入浴ができず、清拭になった)
  3. 「〇時〜〇時は、〇人で〇人を見ていた」と上司に伝える

施設全体では基準を満たしていても、フロアでは足りないことがあります。私の職場もそうです。

だから「基準を満たしているか」ではなく、「この時間に何人いて、何ができなかったか」を伝えます。そのほうが、上司にも状況が伝わりやすくなります。

伝えても変わらない職場もあります。今の職場と比べられるよう、ほかの施設の求人も見ておくと安心です。

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人員配置基準のよくある質問

Q. 看護師も3対1の人数に入りますか?
A. 入ります。3対1は、介護職員と看護職員を合わせた人数です。

Q. パートの職員も数に入りますか?
A. 入ります。働いた時間の分だけ、常勤1人に換算して数えます。

Q. 3対1はフロアごとに守るものですか?
A. 施設全体で数えます。フロアで見ると足りなくても、施設全体で満たしていれば基準内です。

Q. 夜勤が少ないのは違反ではないのですか?
A. 夜勤の人数も、入所者の数で決まっています。従来型では、入所者25人以下なら1人以上、26〜60人なら2人以上です。ユニット型は、2ユニットに1人以上です。

まとめ|3対1は最低ライン、足りない時間は数字で伝える

  • 3対1は、仕事が回る人数ではなく「最低ライン」
  • 入所者35人の場合、
    国の基準では職員1人で約13人の入所者、
    全国の特養平均は約9人、
    私の職場では約10人(実際に出勤した人で数えると約12人)。
  • 勤務表で確認すると私の職場では
    日時によっては1人で35人(全員)を見守る日もあった。
  • 人が少ない日は、優先順位で動き、入浴が清拭に変わる
  • 特養の64%が「人が足りない」と答えている
  • 「4対1」は特養では決まっていない

人が足りないと感じるのは、あなたのせいではありません。まずは自分の勤務表を点検して、人が少ない時間がないか見てみてください。

上司に伝えても、職場に変えようという様子が見えないこともあります。そのときは、無理に長く続ける必要はありません。ほかの職場の情報を集めて、転職も含めて考える。そういう選択もあります。介護専門の求人サービスなら、無料で相談できます。

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