60代になって、仕事でミスが続く。年のせいだろうか。このまま続けていいのだろうか。
私も同じでした。60歳で未経験から介護の仕事を始めて、今は67歳・7年目です。その間に、報告書を書くような事故を5つ起こしています。軽いものを入れれば、もっとあります。
この記事では、私が実際に起こしたミスと、その後どうなったか、そしていつからミスが減ったのかを書きます。介護の話ですが、対策の部分は他の仕事でも同じだと思っています。
60代の私が仕事で起こした5つのミス
最初に、起きたことをそのまま書きます。どれも「ヒヤリ」で済まず、報告が必要になったものです。
① 送迎車の段差で、利用者さんが尻餅をついた(デイケア)

ワンボックスの送迎車は、乗り降りの段差が高めです。利用者さんが降りるとき、膝が伸びきらず、そのまま尻餅をついてしまいました。
お年寄りは、尻餅をついただけで尾てい骨や骨盤を骨折することがあります。この日は理学療法士が同乗していたので、その場で状態を見てもらい、そのリスクも含めて、お迎えのご家族に一緒に説明しました。結果、何もありませんでした。
② 送迎車を運転中に、物損事故(デイケア)

送迎の運転中に、車同士の物損事故を起こしました。利用者さんにけがはなく、影響もありませんでした。警察を呼んで、事故処理をしました。
③ 薬を間違えた(特養)

特別養護老人ホームで、利用者さんの薬を間違えました。すぐ看護師さんに伝え、看護師さんから嘱託医に報告。指示のとおり24時間、バイタル(体温・脈拍・血圧・血液中の酸素の値=SpO2)を測って、経過を見ました。結果、体への影響はありませんでした。
④ 入浴介助で、皮膚が剥離した(特養)

皮膚がとても弱く、剥離を繰り返していた利用者さんでした。入浴介助の最中に皮膚が剥離しました。病院に行って治療するほどのものではなく、特養の看護師さんに処置してもらいました。
皮膚剥離(スキンテア)とは、擦れたり引っぱられたりした弱い力で、皮膚が裂けたり剥がれたりすることです。高齢になると皮膚が薄く、乾燥して弱くなるため、入浴や着替え、車いすへの移乗など、介助のちょっとした摩擦でも起きます。介護の現場では珍しくない傷です。
⑤ 見守り中に、車いすから転落して骨折(特養)

特養に入って1週間目のことです。人手が足りず、食堂で約50人の利用者さんを見守っていました。そのなかの一人が、リクライニング車いすから転落し、骨盤を骨折。病院で治療を受けることになりました。
5つのなかで、いちばん重い事故でした。車いすからの転落に遭遇したのは、これが初めてでした。要介護度の重い特養でも、利用者さんによっては転落の危険がある。それを体験で知りました。
以来、見守りに入るときは、まず全体を見渡して、転落のリスクがある利用者さんから先に、車いすへの座り直しと座る席の見直しをするようにしています。
5つを並べてわかったこと
| 事故 | 職場 | 利用者さんへの影響 | その後 |
|---|---|---|---|
| ① 段差で尻餅 | デイケア | なし(理学療法士が確認) | ご家族に説明 |
| ② 物損事故 | デイケア | なし | 警察で事故処理 |
| ③ 誤薬 | 特養 | なし(24時間の経過観察) | 看護師→嘱託医に報告 |
| ④ 皮膚剥離 | 特養 | 看護師が処置 | — |
| ⑤ 車いすから転落 | 特養 | 骨盤骨折・病院で治療 | 事故報告書 |
並べてみると、共通していることが3つあります。
- 全部、5年目より前に起きている。 未経験で始めて、慣れないうちに集中していました。
- 慣れていない場面で起きている。 ⑤は入職1週間目。①②は送迎という、車まわりの仕事です。
- 5年を過ぎてからは、軽いものも含めて起きていない。
経験を積むうちに、自然と対策が取れるようになっていった。それが実感です。仕事を覚えられずに悩んでいたころのことは、デイサービスの仕事が覚えられないに書いています。
年のせいなのか ― 60代の私が感じていること

年齢の影響は、あると思っています。
若いころは、いくつかのことを同時に進めるのが苦になりませんでした。60を超えてからは、それが厳しい。二つ三つを同時にやろうとすると、どれかが抜けます。
たとえば、見守りをしながら記録を書いているとき。トイレからコールが鳴ると、まずトイレの対応を優先します。すると、見守りが弱くなったり、記録を忘れたりする。人手不足はこの先も続くので、そのたびに「今なにが一番大事か」を判断するしかないと思っています。
確かに、疲れやすくもなりました。65歳で、1日の勤務を8時間から6時間に変えています。働く時間をどう減らしてきたかは介護職は何歳まで働けるのかに、今の体力の数字は介護職に体力はどれくらい要るかに書きました。
ただ、5年目以降に事故が起きていないことを見ると、経験で補える部分も大きいと思っています。年齢は変えられませんが、経験は時間とともに積み重なります。
ミスを減らすために変えたこと
私が今も続けていることは6つです。介護に限らない書き方にしました。
一つずつ、確実にやる
同時に進めない。今やっていることを終えてから、次に移る。60代の私には、これがいちばん効いています。
無理をしない
人手が足りない日ほど、抱え込みたくなります。でも、そういう日にミスは起きます。
不安なら「できない」とはっきり言う
あいまいに引き受けるほうが危ない。「できない」と言うのは、逃げではなく対策だと思っています。
介護で言えば、薬にかかわる仕事です。間違えると、利用者さんの健康や命に影響することがあります。自信がなければ、「できない」と断る。ほかの仕事でも、たとえば運転の業務で大型の車は避けるなど、自分には無理な内容がいくつかあると思います。それは雇う側に、できないものはできないと、先に伝えていたほうがいいと思います。
起きたことは隠さず報告して、教訓にする
介護の現場では、ヒヤリハットも事故も必ず起きます。大事なのは、それを次に生かすことです。私の職場では、病院で治療が必要になった場合は事故として報告書を書く決まりです。意図的な事故でない限り、ほとんどの施設では、罰則や処分はないと思います。
落ち込んだ気持ちを受け止めて、ベテランの動きを見て学ぶ
事故が起きると、誰でも落ち込みます。その気持ちをきっちり受け止めると、同じことにならないようにベテランの職員がどう動いているかが、見えるようになってきます。それが学びになりました。
ベテランと言っても、年上とは限りません。20代の若い職員でも、現場ではその人なりの経験を持っています。年齢に関係なく、学びになります。
回ってくるヒヤリハット・事故の実例を読む
私の職場では、ヒヤリハットや事故の実例が、定期的に回覧で回ってきます。他の人の実例を読むことが、そのまま学びになります。
ミスばかりで、辞めるべきか

私は辞めませんでした。理由は3つです。
- 事故は、ほとんどの人が経験することで、どの職場でも、事故を責めるような雰囲気はなかった
- 事故は必ず起きるもので、起きたあとにどうするかも仕事の一部だった
- 5年を過ぎたら、起きなくなった
ただ、無理をしてまで続ける必要はないとも思います。不安なまま「できます」と言い続けているなら、先に「できない」と言うほうがいい。辞めるかどうかは、そのあとで考えても遅くありません。
ミスをしたとき、周りに助けられたこと
介護の現場では、同じようなヒヤリハットや事故が、誰にでも起きています。だから周りには、必ず経験者がいます。
「私もやったよ」「そうだよね、私はこうしている」。上からではなく、横の関係でそう言われると、安心すると同時に、仲間意識が芽生えました。これが、私が今まで介護の仕事を続けられている、一つの要因です。
よくある質問
Q. ミスをしたあと、上司にはどう報告しましたか?
A. その場で看護師さんや上司に伝えました。病院での治療が必要になったケースは、決まりどおり事故報告書を書きました。
Q. 利用者さんやご家族との関係は、その後どうなりましたか?
A. ①のときは、同乗していた理学療法士と一緒に、お迎えのご家族に状況を説明しました。隠さず、その場で伝えることを大事にしています。
Q. 処分はありましたか?
A. ありませんでした。事故は、ほとんどの人が経験することで、どの職場でも、事故を責めるような雰囲気はありませんでした。
Q. 60代・未経験で介護の仕事を始めても大丈夫ですか?
A. 私は60歳・未経験で始めて、7年目です。最初の数年はミスもありましたが、続けられています。
まとめ

- 60代の私が起こした事故(ミス)は5つ。すべて5年目より前でした
- 年齢の影響はある。だから、一つずつ確実に
- 無理をしない。不安なら「できない」と言う
- 起きたことは報告して、教訓にする。事故を責める雰囲気はなかった
- 落ち込んだら、その気持ちを受け止めて、ベテランの動きを見て学ぶ
- 周りには必ず経験者がいる。回ってくるヒヤリハットの実例も学びになる
ミスばかりの時期は、私にもありました。それでも、介護の仕事を7年続けています。

