沖縄の家に雨戸がない理由 ― 台風に強いサッシと、地元の備え

沖縄の青空にかかる入道雲と、記事タイトル「沖縄で育った私の台風の備え」 島の暮らし

「沖縄の家って、雨戸がないよね?」

県外から来た友人に、必ずと言っていいほど聞かれます。台風があれだけ来る土地なのに、窓に何も付いていない。無防備に見えるそうです。

でも、これには理由があります。沖縄で生まれ育って67年、子どもの頃は五寸釘で戸を打ち付けていた私が、なぜ今は何もしなくていいのかを説明します。

沖縄の家に雨戸がない理由 ― 窓そのものが違う

現在の我が家は、私が35歳のときに建てたRC造(鉄筋コンクリート造)の家です。台風が来ても、窓には特別なことを何もしていません。

これは手を抜いているわけではなくて、家のほうが最初から台風仕様になっているからです。県外の方に驚かれるのですが、沖縄のアルミサッシは本州と規格そのものが違います。

本州の標準沖縄の標準
サッシの耐風圧等級S2(風速44m/s相当)S5(風速62m/s相当)
高層階S7(風速76m/s相当)

サッシの枠も、強風でたわまないようアルミが太く設計されています。近年は防犯フィルム以上の強度を持つ「合わせガラス」も標準になりつつあります。

沖縄の家に雨戸が少ないのを見て「無防備では?」と思う方がいますが、窓そのものが本州とは別物なんです。近年、新築で雨戸を付ける家が減ってきたのも、飛来物が少なくなったことやガラスの強度が上がったことが理由だと言われています。

とはいえ、雨戸には夜の暑さを和らげる働きもあります。「本来はあったほうがいい」という声も専門家にはあるので、まったく不要と言い切るつもりはありません。

ただし、木造や古い家屋は別

とはいえ、すべての家がそうではありません。木造の家や古い家屋では、今も厚めのベニヤ板を窓に打ち付けて備えることがあります。飛来物でガラスが割れ、家の内と外がつながってしまうのを防ぐためです(そうなると屋根が飛ぶ危険も出てきます)。

ご自宅がどちらのタイプか、一度確認しておくと安心です。

昔は、五寸釘で引き戸を打ち付けていた

私が子どもの頃、家族は平屋の借家に住んでいました。大型台風が来るたびに、私が五寸釘と金槌を持って、引き戸を柱に一枚ずつ打ち付けて回ったものです。強風で戸が飛ばないようにするためでした。

今思えば大変な作業でしたが、家族総出で備えたあの光景は、今でも忘れられません。

(念のためですが、これは昔の話です。今の住宅で釘を打つ必要はまずありません。)

沖縄の台風は本州とここが違う

まず知ってほしいのが、風の強さと停電・断水の長さです。本州の台風が「強い雨」中心なら、沖縄は「もう何日も続く暴風」。数時間で復旧する本州と違い、停電が丸一日以上、離島だと数日に及ぶことも珍しくありません。

過去の台風データを見てみましょう。富士山の山頂を別にすれば、日本でいちばん強い風は沖縄・宮古島で記録されています。

台風(年)場所観測された最低気圧最大瞬間風速
第2宮古島台風(1966年)宮古島928.9hPa85.3m/s(富士山を除き日本1位)
台風21号(2015年)与那国島81.1m/s
第3宮古島台風(1968年)宮古島79.8m/s
台風14号(2003年)宮古島912hPa74.1m/s
宮古島台風(1959年)宮古島908.1hPa64.8m/s

最大瞬間風速85.3m/s ―― 時速にすると300km超、新幹線並みの風が吹くということです。この台風で、宮古島では半数以上の家が壊れ、さとうきびの7割が収穫できなくなりました。当時の台風が、いかに桁違いかが分かります。

沖縄で暮らすお年寄りは、気象台の情報に加えて、長年の経験から台風の勢いを「体感」でわかっている人が多いです。台風の大きさや強さに応じて。早めにで備えを進めています。

離島ならではの悩み ― 台風で食料が届かない

意外と知られていないのが、離島の食料問題です。台風で海が荒れると船が出せず、生鮮食品が島に届きません。大型台風が近づくたびに、島のスーパーやコンビニの棚からは食料品がどんどん消えていきます。

島の人たちも心得たもので、台風が来る前にいつもより多めに買い出しをして備えます。私も会社員時代、台風被害に遭った離島へ支援に入り、施設の後片付けや準備を手伝いました。島の暮らしにとって、台風は本当に生活を左右する出来事なんです。

停電に備える ― 冷凍庫の氷と、前日までの準備

我が家で普段からやっているのが、冷凍庫でペットボトルの水を凍らせておくこと。停電が起きても、この氷を保冷剤代わりにすれば、しばらくは食料を冷やしておけます。これはおすすめの一手間です。

あわせて、台風前には必ずこれをやります。

  • スマホ・モバイルバッテリーをフル充電
  • 車のガソリンを満タンに(停電時、車は充電と涼む場所になります)
  • 水の確保(飲み水+お風呂に貯水してトイレ用に)

どんな家でも共通 ― 家のまわりの片付け

家の造りに関係なく必ずやるのが、ベランダや家のまわりの片付け。植木鉢や物干し竿など、風で飛びそうなものは必ず家の中へ。飛来物は自分の家だけでなく、ご近所の窓を割る原因にもなります。サッシがどれだけ強くても、飛んでくるものは減らすに限ります。

まとめ ― 最低限これだけは

台風前のチェックリストです。

  • 水(飲み水+貯水タンクがない場合は、お風呂に貯水)
  • 火を使わない食料(離島は特に早めに)
  • モバイルバッテリー・スマホ満充電
  • 冷凍庫にペットボトルの氷
  • 車のガソリン満タン
  • ベランダ・家まわりの飛散物を片付け

沖縄の台風は身構えると怖いですが、備えさえあれば大丈夫。地元の知恵が、少しでも参考になればうれしいです。

よくある質問

沖縄のアパートやマンションにも雨戸はないのですか?

ほとんど付いていません。ただしこれは沖縄に限った話ではなく、全国のマンションも同じです。高い階から雨戸が落ちると危険なこと、窓のサッシやガラスが最初から頑丈に作られていることが理由です。沖縄の集合住宅では、防犯は面格子で担保していることが多いようです。

沖縄が違うのは、戸建てでも同じことが言えるという点です。本州の一戸建てなら雨戸が当たり前でも、沖縄では鉄筋コンクリート造が多く、サッシの規格そのものが本州より上(S5以上)。だから戸建てにも雨戸が要りません。

「集合住宅だから雨戸がない」のと「沖縄だから雨戸がない」は別の話で、沖縄ではその両方が重なっている、というのが実際のところです。

雨戸がないと、飛来物でガラスが割れませんか?

沖縄のサッシは本州より高い耐風圧等級(S5以上)で、近年は合わせガラスも標準になりつつあります。加えて、街から飛びやすいものが減ったことも大きいです。ただし木造や古い家屋は別で、今もベニヤ板を打ち付けて備えます。どんな家でも、いちばん効くのは家のまわりの片付けです。

沖縄に引っ越すなら、窓は何を確認すればいいですか?

建物が鉄筋コンクリート造か木造か、サッシの耐風圧等級、合わせガラスかどうかの3点です。古い木造なら、窓を板で塞ぐ準備をしておくと安心です。


参考・出典

この記事を書いた人
さぶろー

さぶろー/67歳・介護福祉士。60歳で定年退職し、未経験から介護の世界へ。7年目の今もパートで現場に立たせてもらっています。60代が体を壊さずに働き続けるために、自分で試して続いたことを書いています。沖縄在住、犬9匹。週2回のジム通いが日課です。

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