9月7日から、屋久島へ行きます。宮之浦岳に1泊2日で登る予定です。67歳、介護の仕事を7年続けながら、去年は富士山に登りました。今年は屋久島だと決めて、数か月前から準備してきました。
ところが、台風24号が来ています。
しかもこの台風、まっすぐ進んでくれません。9月2日の予報では「屋久島の手前で止まって東へ抜ける」でした。それが9月4日の予報では「南下して沖縄本島の横を通る」に変わっていました。二日で反対方向です。
出発まであと3日。行けるのか、行けないのか、まだ誰にもわかりません。
それで私は、天気予報を見るのをいったんやめて、台風で行けなくなったとき、払ったお金がどこまで戻るのかを調べてみました。
同じように、台風で旅行が中止になりそうな人がいると思います。私が調べた結果を、そのまま書きます。
まず結論 ― 戻るお金の一覧
支払い先を、順番に調べた結果です。
| 何を | いくら | 台風で行けなかったら |
|---|---|---|
| 行きの飛行機 | 13,660円 | 全額戻る(欠航した場合) |
| 装備レンタル | 10,200円 | 全額戻る(条件つき) |
| 高速船(往復) | 18,500円 | 全額戻る(条件つき) |
| 帰りの飛行機 | 12,450円 | 帰りが欠航なら全額戻る。ただし行きが欠航した場合は要交渉 |
| 民宿 | 4,000円 | 規定なし。電話するしかない |
※金額はいずれも1人分です。
「条件つき」と書いたのには、理由があります。
どこまで進んだかで、結果が変わります。島に着けなかったなら戻ります。道具を使ってしまった後は、戻りません。

行きと帰りで航空会社が違うなら、確認が必要です
私の航空券は、行きと帰りで会社が違います。
- 行き:9月7日 那覇 → 鹿児島(ANA)
- 帰り:9月10日 鹿児島 → 那覇(ソラシドエア)
安く組もうとして、別々に取りました。そのときは何とも思っていませんでした。
ところが今回調べてわかったのは、行きの便が欠航しても、帰りの便は自動的には無料にならないということです。
ソラシドエアの規定を読むと、「遅延・欠航となった便を払い戻しすることで、乗継便や復路便の払い戻しが必要となった場合は、同様に払い戻しが可能です」と書かれています。ありがたい規定です。ただしこれは同じ予約の中の話でした。
私の場合、行きと帰りは別の予約番号です。帰りの会社からすれば、「うちの便は予定どおり飛びます。お客様の都合で乗らないのですね」という話になります。
つまり、行きが飛ばなくて旅行そのものが消えても、帰りの12,450円は自動では戻らないかもしれない。
これは、往復セットで取っていたら起きなかった問題です。安く組んだつもりが、こういうところで効いてくるのだと知りました。
(結論としては、その場合は電話して事情を説明するしかありません。那覇空港が閉鎖されるような台風なら、ソラシドエアも特別対応を出す可能性はあります。ただし規定として保証されてはいません。)
5つの支払い先を、順番に調べた
① 行きの飛行機 ― 欠航が決まれば、手数料なしで振り替えられる
那覇から鹿児島まではANAで13,660円です。
規定を読むと、欠航が決まってから予約便の出発時刻までのあいだに、前後7日以内の便へ1回、手数料なしで振り替えられるとありました。振り替えではなく、払い戻しを選ぶこともできます。
ただし、これは欠航が決まってからの話です。台風が近づいたときに、欠航が決まる前でも変更できる案内が出ることがありますが、そのつど発表されるもので、いつも同じとは限りません。私は出発前に、その案内が出ているかどうかを見るつもりです。
行きの飛行機は、5つの中でいちばんはっきりしていました。問題は、この先にありました。

② 装備レンタル ― 「島に到着できなかった場合」という一文
寝袋・マット・ヘッドランプ・ザック・レインウェア・登山靴。山中泊の道具一式を、屋久島のレンタル店で借りることにしていました。10,200円を先払い済みです。
通常のキャンセル料は、こうなっていました。
- 受取日の3日前から:20%(2,040円)
- 前日:50%(5,100円)
- 当日:100%(10,200円)
私の受取日は9月7日なので、9月4日から料金が発生し始める計算です。この記事を書いている日が、まさにその日でした。
ところが、よくある質問のページに、こう書いてありました。
飛行機が欠航して屋久島に到着できなかった場合は、キャンセル料は頂いておりません
これで肩の荷が下りました。台風で島に着けないなら、無料です。
ただし、その下にもう一文ありました。
荒天により入山ができなかった場合は、レンタル品未使用の場合のみ返金
つまり、道具を使ってしまったあとは戻らないということです。逆に言えば、受け取っただけで使っていなければ、返金の対象になります。
受け取りは9月7日の夕方、登山は翌朝です。その一晩のあいだに通行止めと分かったら、道具は手元にあっても未使用のまま。手をつけずに、すぐ店へ連絡すると決めました。

③ 高速船 ― 欠航なら全額戻る。自分からキャンセルすると戻らない
鹿児島から屋久島までは、種子屋久高速船の「トッピー&ロケット」で2時間弱です。早割の往復で18,500円を払っています。
規定を読むと、欠航になれば手数料なしで全額払い戻しでした。手続きの期限は、予約確定日から90日以内。ここはわかりやすい規定でした。
問題は、その手前でした。欠航が決まる前に自分からキャンセルすると、お金は戻りません。決定が出るのは出港の1時間前、私の便は12時35分です。そのころ鹿児島の街にいて波が気になっても、そこまでは待つと決めました。

④ 帰りの飛行機 ― 全額戻る。ただし足止めされた分のホテル代は出ない
帰りのソラシドエアが欠航した場合の扱いは、はっきりしていました。悪天候による欠航なら、変更手数料も取消手数料もかかりません。振り替えるか、全額払い戻すかを選べます。払い戻しの期限は、出発予定日の翌日から30日以内でした。
ただし、ここでひとつ見落としそうな点がありました。
足止めされた分のホテル代は、出ません。
航空会社が交通費や宿泊費を負担してくれるのは、「機材故障など会社の都合」で欠航した場合です。天候による欠航は、それに含まれていませんでした。
考えてみればそのとおりで、台風は航空会社のせいではありません。ただ、私はなんとなく「欠航したらホテル代くらい出るのだろう」と思い込んでいました。鹿児島にもう1泊する分は自分で払う前提で、財布に余裕を持たせておくことにしました。

⑤ 民宿 ― 規定がないので、早く電話する
安房の民宿を1泊4,000円で押さえています。個人で営んでいる宿で、キャンセル規定はどこにも書かれていませんでした。
こういうときは、規定を探すより、電話するほうが早いと思っています。交通機関の運休が公式に発表されていれば、事情を汲んでくれる宿は多いはずです。ただし、それは「はず」であって、約束ではありません。
早く連絡すれば、宿はその部屋を別のお客さんに回せます。宿にとっても、そのほうがいい。ぎりぎりまで粘って前日に電話するより、見通しが立った時点でかけるほうが、お互いに気持ちがいいと思いました。

出発前に決めた、5つの引き返し点
金額のことがわかったので、次は「いつ何を決めるか」を紙に書き出しました。
天気予報を毎日見ていると、上がったり下がったりで気持ちが落ち着きません。あらかじめ「この日にこれを決める」と決めておけば、その日まで悩まなくて済みます。
| いつ | 何が起きる | どうする |
|---|---|---|
| 9月4日 | レンタルのキャンセル料が20%発生 | 何もしない(島に着けなければ無料なので) |
| 9月6日 | キャンセル料が50%に上がる。翌日の便の見通しが立つ | ここが本当の判断日。航空・船・登山道を全部確認 |
| 9月7日 12:35 | 高速船の欠航が最終決定 | 欠航なら午後の飛行機に切り替え |
| 9月7日 夜 | 宿で、翌朝5時半に出るかを決める | 天気だけでなく登山道の状況を確認 |
| 9月9日 | 下山ルートを選ぶ | 大雨のあとは沢が増えるので、増水しにくい側へ |
いちばん大事だと思ったのが、9月7日の夜です。
屋久島は、台風の本体が抜けたあとも油断できません。9月の月間降水量は450.7mmで、年間で最も多い時期です。大雨が降ると沢が増水し、登山道が通行止めになります。空が晴れていても、山に入れないことがある。
だから、その夜に見るのは天気予報だけではありません。町や観光協会の情報、それに宿の方の話です。地元の人がいちばん知っています。

行けなかった日のために、代わりの計画も作った
「行けなかったらどうしよう」と考えるのは、正直あまり気分のいい作業ではありません。数か月かけて準備してきたので、なおさらです。
それでも作りました。理由は単純で、当日にゼロから考えるのは無理だからです。
鹿児島に足止めされたなら、鹿児島で過ごせばいい。そう思って調べ始めたのですが、ここでも思わぬことがわかりました。
桜島は登れない。霧島も規制中だった
「山に登れないなら、鹿児島の山に登ればいい」と考えたのですが、これが甘かった。
- 桜島:噴火警戒レベル3(入山規制)。火口から2km以内は立入禁止で、登れません。ただし観光施設はすべて火口から2.5km以上離れているので、展望所をめぐる分には問題ありません。
- 霧島:新燃岳が噴火警戒レベル2(火口周辺規制)。えびの高原の硫黄山周辺は、登山道が立入規制されています。
調べていくと、鹿児島で確実に登れる百名山は開聞岳(924m)だけでした。往復4〜6時間、登り3時間・下り2時間半。「薩摩富士」と呼ばれる形のいい山です。
ただし、ここにも落とし穴がありました。登山靴とレインウェアは、屋久島のレンタル品なのです。島に入れなければ、手元にありません。開聞岳は岩と木の根が続く道なので、スニーカーで登る山ではない。靴をどうするかを先に考えないと、この案は成立しません。

結局、選んだのは「登らない案」だった
そこで作ったのが、こういう3日間です。
- 桜島へフェリーで渡る(片道250円・約15分)。周遊バスの1日券が500円で、展望所をめぐれます
- 指宿へ日帰り。砂むし温泉(1,500円)に入る
- 仙巌園を歩く(1,600円)
移動が短く、雨でも成立するのがこの案のいいところです。台風のあとで疲れているとき、あちこち動き回る計画は自分の首を絞めます。
宿は市内に3泊固定にして、指宿へは身軽に日帰りする。荷物を持って動かないだけで、旅はずいぶん楽になります。

67歳が、この準備をしてよかったと思う理由
ここまで書いてきて、自分でも思うのは「ずいぶん細かいことをやったな」ということです。
でも、この歳になってわかったことがあります。判断を当日に持ち越すと、たいてい欲のほうが勝ちます。
数か月かけて準備して、飛行機に乗って、船に乗って、島まで来た。目の前に山がある。「多少の雨なら行けるんじゃないか」と思ってしまう。それが自然です。
私が登ろうとしている宮之浦岳から縄文杉へ抜けるコースは、21km、環境省の分類で体力度が5段階の5、難易度D。楽な道ではありません。そこへ、増水した沢と一緒に入っていく理由は、どこにもない。
引き返す決断は、山の上ではできません。だから、家にいるうちに決めておく。「この条件になったらやめる」と紙に書いておく。書いてしまえば、当日の自分は、それに従うだけで済みます。
行けたら行きます。行けなかったら、鹿児島で温泉に入って帰ってきます。どちらでも、この旅は失敗ではない。そう思えるところまで準備できたのが、今回いちばんの収穫でした。
よくある質問
Q. 台風の予報は、いつごろ当たるようになりますか。
私が見ている範囲では、3日先までは比較的しっかりしていますが、5日先になると予報円(位置の幅)がかなり大きくなります。実際、私の台風24号も2日で進路の向きが変わりました。5日前の予報で一喜一憂しないほうが、精神的に楽です。
Q. キャンセル料が発生する前に、早めにやめたほうが安全ではないですか。
それも一つの考え方だと思います。ただ、今回私が調べた範囲では、「台風で行けなかった場合」の但し書きがあるものが多かったです。自分から早めにキャンセルすると、その但し書きが使えず、通常のキャンセル料になります。規定を一度読んでから決めることをおすすめします。
Q. 旅行保険には入りましたか。
今回は入っていません。次に同じような時期に山へ行くときは、検討しようと思っています。

まとめ
台風で旅行が中止になりそうなとき、私が調べてわかったことです。
- 旅費は、その種類によって戻り方が違う。まとめて考えない
- 「台風のときは無料」という但し書きがあることが多い。まず規定を読む
- 自分から先にキャンセルすると、その但し書きが使えなくなる。欠航の決定を待つ
- 行きと帰りが別の会社なら、片方が欠航しても、もう片方は自動では戻らない
- 足止めされた分のホテル代は、天候による欠航では出ない
- 決める日を、先に決めておく。そうすれば、その日まで悩まなくて済む
9月10日に帰ってきたら、実際どうなったかを、この記事に追記します。
※この記事の規定は、2026年9月4日に各社の公式サイトで確認したものです。内容は変わることがあります。ご自身の予約については、必ず公式サイトで最新をご確認ください。
屋久島の準備そのものについては「60代、屋久島の宮之浦岳へ ― 2日で18時間半、体力が持つか」に、去年の富士山については「富士山はどこがきついのか ― 65歳で登ってわかった5つのきつさ」に書いています。


コメント