朝、着替えながら「今日も行きたくないな」と思う。介護のパートが続かないのは、自分が弱いからだろうか。
そう思っている方に、先にお伝えします。「続かない原因は、あなたの性格の弱さではない」と。
私は67歳、沖縄で介護のパートをしています。60歳で定年退職したあと、未経験で始めて7年目になりました。
その7年で、何人もの人が辞めていくのを見てきました。私自身も、4つの職場のうち3つを自分から辞めています。
辞めていった人を思い出すと、メンタルが弱かったからというより、職場の側に問題があったように思います。

介護の現場は、実際どれくらい「きつい」のか
「きつさ」の中身は、施設の種類でかなり違います。
私が今いる特別養護老人ホームは利用者の移乗や入浴介助が多く、身体的な負担が大きくなります。
デイサービスは身体の負担こそ軽めですが、そのぶん行事が多く、企画の準備が担当職員の負担になってきます。
私が経験した4つの職場で比べると、こうなります。
| 職場 | 私が感じた負担 | どうしたか |
|---|---|---|
| 特養のデイサービス | 体は軽め。行事の準備と時間外の「学習会」が重い | 2週間で退職 |
| デイケア(医療法人) | リハビリ中心。ただ賃金や労働条件が不透明 | 約2年半勤務 |
| 老健(同じ法人) | 介護職が医療職より軽く見られる雰囲気 | 半年で退職 |
| 特養(今の職場) | 移乗・入浴介助が多く、腰に負担が大きい | まもなく4年、継続中 |
さらに、どこも人手が足りていません。誰か一人休むと、その日の現場がまるごと重くなります。
しかし、人が辞めていく本当の理由は、この仕事の「きつさ」そのものではなかったように思うのです。
辞めていった4つの理由 ― 私も3つの職場を辞めました
辞めていった理由は、大きく4つでした。
お金 ― 生活が成り立たない

正規職員だった40代半ばの男性は、「ここの給料では家族を養えない」と普段から話していました。
休憩室でよく話しました。お子さんは3人で、上は高校受験を控えた中学生。共働きでしたが、それでも厳しいと。別の施設で夜勤に入ると話していました。
仕事ぶりに問題はありません。生活が成り立たずに辞めていきました。
身体 ― いちばん多いのは腰痛

退職理由でいちばん多かったのは腰痛です。とくに特養は利用者の移乗や入浴介助が多く、人を抱える場面が続くと腰に来ます。
今の職場では、ほぼ全員がコルセットをして働いています。痛み止めを使っている方もいるようです。
私自身も腰の持病を抱えたまま働いています。コルセットのことや、休むという選択については、介護職の腰痛|辞める前に休むという選択と傷病手当金に書きました。
辞めていった60歳前後のパートさんは、整形外科に通いながら続けていました。最後のころは、かがんで利用者の靴下を履かせようとすると、腰に痛みが走ったそうです。
無理をして働き、身体が追いつかずに辞めた方が、パートの女性で何人もいました。
人間関係 ― ワンマンなリーダー

リーダーがワンマンで、仕事のやり方も指示の出し方も納得できない。はたから見ていて、行き過ぎではないかと感じる場面がありました。
施設長に掛け合った職員もいたようですが、状況は変わりませんでした。そのリーダーのもとでは、それまでにも何人ものパートさんが辞めています。
代わりが見つからないのか、その体制はしばらく続きました。
辞めたのは、介護の経験も長く、周りの評価も高いパートさんでした。施設にとっても損失だったと思います。
施設の体質 ― 私自身が辞めた理由
最初のデイサービスには、週に1回、時間外の「学習会」がありました。暗黙の了解で、全員参加です。
終業後も帰れず、始まるまで30分以上を車の中で待ちました。
お腹が空くのでコンビニで何か買って、食べながら過ごしました。会は2〜3時間、賃金は出ませんでした。
施設全体として労働基準法の認識がないように見えたので、2週間で辞めました。一人が声を上げても変わらないだろうと判断したからです。
そのあとに移った医療法人のデイケアと老人保健施設も、最終的には辞めました。介護職員が対等に扱われていないと感じたからです。
(4つの職場のことは、連載①「60歳・未経験から介護職へ」に詳しく書いています)
続かないのは、職場のせいか、あなたのせいか

さきほどの4つ ― お金、身体、人間関係、施設の体質。これが、辞めていった人たちの困りごとでした。どれも、本人の努力だけではどうにもならないものだと思います。
公的な調査でも、介護で働く人の悩みの上位は「人手が足りない」(49.1%)、「仕事内容のわりに賃金が低い」(35.3%)、「身体的負担が大きい」(24.6%)でした。
介護の仕事を辞めた理由の1位は「職場の人間関係」(24.7%)です。
私が見てきた4つと、ほとんど同じでした。(介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」)
辞めずに続いている人が特別に強いわけではないと思います。違うのは、困りごとの中身ではないでしょうか。
困りごとを自分で解決できるなら、同じ職場を続けられます。
けれど、給料の水準や施設の体質のように、自分ではどうにも変えることができないなら、多くの方は辞めていくのだろうと思います(むしろ、早く職場を変えた方がいい)。
3つの質問で、職場のせいかどうかを分ける

辞めるか続けるかで迷っている方に、3つだけ質問します。
1、その困りごとは、職場が変われば消えますか。
給料、シフト、リーダーとの関係、休みの取りにくさ、移乗のやり方、施設の体質。
これらは職場の問題で、介護という仕事そのものの問題ではありません。移った先で消えることもあります。
2、その困りごとは、あなたの身体の側にありますか。
腰や膝は、職場を変えても一緒に付いてきます。ただ、負担の程度は職場によって変わります。
もし転職を考えるなら、見学や面接では、「抱えない介護」を掲げているかだけでなく、それが実際に守られているかまで見ておきたいところです。
方針はあっても、人手不足など様々な理由で徹底されない施設も少なくありません。
体への負担は、足元からも減らせます。靴とインソールのことは、介護職の靴の選び方 ― 60代・現役7年目が行き着いた5つの条件にまとめています。
3、利用者と過ごす時間は、嫌ですか。
ここが嫌でないなら、辞めたほうがいいのは介護ではなく、その職場のほうだと思います。
同じ介護の仕事でも、中身は職場ごとにまるで違います。4つの職場を歩いてみて、それがよく分かりました。
介護の有効求人倍率は4.08倍です。全職業の平均は1.14倍ですから、求人4件に対して、探している人が1人という計算になります。
とくに訪問介護は14.14倍と深刻です(令和5年度/厚生労働省「職業安定業務統計」)。
辞めても、次の職場は探せると思います。
年齢別に見ると、辞めているのはむしろ若い世代です。先ほどの調査では、60代前半の離職率は10.5%と全年代でいちばん低く、29歳以下は18.7%でした。

よくある質問
入ったばかりで辞めるのは、甘えでしょうか
私自身、最初の職場は2週間で辞めました。時間外の会が常態化していて、職場の側に問題があると判断したからです。勤めた長さではなく、困りごとが「職場のせいかどうか」で考えてみてください。迷うときは、この記事の3つの質問に戻っていただければと思います。
仕事が覚えられず、続く気がしません
私も60歳・未経験で始めたころは覚えられませんでした。そのときやった工夫はデイサービスの仕事が覚えられない|60代・未経験の私がやった工夫に書いています。
続かないのは、年齢のせいでしょうか
調査では、60代前半の離職率は10.5%と全年代でいちばん低く、29歳以下は18.7%でした。辞めているのはむしろ若い世代です(介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」)。年齢のせいだと考える必要はないと思います。
まとめ
7年見てきて思うのは、続く人と続かない人を分けているのは性格の弱さではない、ということです。
辞めていった人が抱えていた困りごとは、給料、腰の痛み、リーダーとの関係、そして施設の体質。どれも本人の頑張りだけでは解決できないものでした。
迷ったときは、本文の3つの質問に戻ってみてください。
あなたの困りごとが・・・・・
1、職場が変われば消えることなら
その職場を早めに離れる。
2、腰や膝に不安があるなら
まず身体に手を打つ。抱えない介護の施設を見極める。
3、利用者と過ごす時間が嫌でないなら
辞めるのは介護ではなく、その職場のほう。
私は3つの職場を辞めました。それでも67歳の今、介護の現場に立っています。
辞めた自分を責める必要はありません。あなたが続けられる場所は、必ずあると思います。
(仕事をどこまで引き受けるかで迷うときは、介護パートの仕事はどこまで?60代の私が決めた線引きにも書いています)
体を壊さずに働き続けるために私がやってきたことは、こちらにまとめています。
→ 60代で介護職を続けるブログ ― 67歳・7年目、体を壊さずに働く記録


コメント