「いい施設」は外からは見えない ― 特養で見た、人間関係がこじれる仕組み

港に停まる船と、海沿いの町並み 介護の仕事と体づくり

求人票にも、見学にも出てこないものがあります。中で働く人たちの関係です。

私は沖縄の特別養護老人ホームで、4年目になります。67歳、介護の仕事は7年目です。

ここでは、施設に入ってから見えたことを書きます。入る前に何を見ておくかは、介護の職場見学で見るべきことに別でまとめました。

木々の上に広がるうろこ雲の空

規定も賃金も整っている。それでも中は別だった

今の職場は、社会福祉の団体が運営する特別養護老人ホームです。

規定がきちんと決められています。賃金の仕組みも確認できます。組織としては透明性がある。私はそう感じています。

ただ、それと「現場の中がうまく回っているか」は、まったく別の話でした。

こじれ始めるのは、仕事の分担が偏るとき

現場には、いろいろな職員がいます。それぞれが自分の考えで動いています。自分なりのルールで動いている人もいます。

本来は、こうあるべきです。役割がわかりやすく整理されている。一人ひとりが、まず自分の役割を果たす。そのうえで、周りと連携する。それだけでいいはずです。

ところが、決まった通りにやらない職員がいます。

すると、どうなるか。その分の仕事を、真面目にやる職員が引き受けることになります。

一度や二度なら、誰も気にしません。でもそれが続くと、引き受けている側に「なぜ自分ばかり」が溜まっていきます。

人間関係が悪くなるのは、たいていこの順番でした。性格が合わないから揉めるのではありません。仕事の偏りが続いたあとで、性格の話にすり替わっていくのです。

大事なのは「誰が何をやるか」の整理

だから私は、現場の中で「仕事の整理」をすることが一番だと思っています。つまり、誰が何をやるのかをはっきりさせることです。

規定がしっかりしていることと、現場で役割が整理されていること。この2つは別の話です。

前者は書類で分かります。後者は、入ってみないと分かりません。

「いい施設」は外からは見えない、というのはそういう意味です。

閉じた空間だから、人柄がそのまま出る

外から見れば、整った施設です。

それでも中で働いていると、私から見て神経質すぎると感じる職員がいます。少しやりづらさを感じる相手もいます。

介護の現場は、いわば閉じた空間です。同じ人たちと、毎日顔を合わせます。逃げ場がありません。

その中で、みんなが人柄をむき出しにして仕事をしていきます。だから、ぶつかり合いも当然出てきます。

これは、どの施設に移っても同じなのだろうと思っています。

誰もいない食堂の長テーブルと椅子

67歳の私が、巻き込まれないためにやっていること

やりづらい相手ができたとき、私は避けようと決めているわけではありません。ただ、仕事以外の冗談や軽口を言わなくなります。結果として、話しかける回数が自然に減っていく。それだけです。

かといって、噂話をすべて遠ざけているわけでもありません。狭い職場では、人の噂が潤滑油になることがあります。だから休憩中の話には相槌を打ちます。

仕事の偏りが気になったときは、言い方を決めています。相手の性格の話にしないことです。

うちの職場にはマニュアルがあります。だから「マニュアルと違うよ」「役割分担とは違うよ」と伝えます。人を責めると角が立ちますが、決まりを指せば話は通ります。実際、たいていは理解してもらえます。

それから、年齢を理由に手を抜かないこと。67歳ですが、若い人と同じ仕事をするようにしています。

それでも、面と向かって口論になった職員が2、3人います。

きっかけは決まっていて、上から目線で指示してくる人でした。ああいう言われ方をすると、私は無条件でムッとします。これは私の性格の問題でもあります。しょうがない、と思っています。

そのあと、お互いに分かり合えるようになった人もいます。今でも口を聞いてもらえない人もいます。

その差は、結局のところ馬が合うか合わないかなのでしょう。それも、しょうがない。私はそう割り切っています。

辞めたくなる気持ちは、よく分かります

人間関係を理由に介護施設を辞める人は多いと聞きます。

その気持ちは、私にもよく分かります。私自身、これまでに3つの職場を辞めています。

ただ、辞めるかどうかを決める前に、ひとつだけ分けて考えてみてください。

今つらいのは、「人が合わないこと」でしょうか。それとも、「仕事の偏りが続いていること」でしょうか。

後者なら、決まりを持ち出して一言伝えるだけで変わることがあります。前者なら、私のように割り切るしかない相手もいます。

それでも変わらないのなら、それはあなたの問題ではなく、職場の問題です。くわしくは介護パートが続かない4つの理由に書きました。

これが、私の職場の実際です。少しでも参考になればうれしいです。

60代で介護の仕事を続けている記録は、60代で介護職を続けるブログにまとめています。

この記事を書いた人
さぶろー

さぶろー/67歳・介護福祉士。60歳で定年退職し、未経験から介護の世界へ。7年目の今もパートで現場に立たせてもらっています。60代が体を壊さずに働き続けるために、自分で試して続いたことを書いています。沖縄在住、犬9匹。週2回のジム通いが日課です。

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