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入浴介助は、介護の仕事の中でも、いちばん体にこたえるかもしれません。とくに夏の浴室は、サウナに近い状態になります。
きついのは、暑さだけではないと思います。服装、足元、腰。気をつけるところが、いくつもあります。
介護福祉士として働く67歳の私が、7年の入浴介助で実際に経験してきたことを書きます。
私の施設では、多い時には10名ほどの方が同時に入浴されます。最初はそれほどでもなくても、お湯を使い続けるうちに浴室の気温はどんどん上がっていきます。
入浴介助の、どこがきついのか

入浴介助の時間は、午前9時から正午までと、午後1時から4時まで。私はパート勤務で主に午前の入浴を担当しています。
利用者お一人の入浴は、脱衣から入浴、着衣まで、だいたい30分です。それが途切れずに続きます。
暑さ。浴室の気温と湿度が上がり続けます。
姿勢。洗身も着脱も中腰です。介護の仕事は、日常的に中腰の姿勢が求められます。
足元。床が濡れていて滑ります。
汚れ。入浴中に排泄をされる方は、少なくありません。
このどれも、少しずつ体の負担になってきます。ですから対策も、暑さだけでは足りないと思っています。
なぜ、入浴介助はパートに集まるのか
私の職場では、入浴介助はパートが中心です。
パート1人が利用者お一人を担当して、1日に4〜6名。お一人あたり30分ほどですから、担当する時間帯によっては、午前と午後で数時間、浴室にいることになります。
一方で、腰に負担がくるからと、入浴介助を避ける古株の正規職員もいます。
これは私の勤務する施設だけではないようです。同僚のパートさんから、前の施設でも「正職員は週に1〜2日しか入浴介助に入らない」「パートが浴室を任される」という話を聞いたことがあります。「入浴介助が終わらないと休憩に入れなかった」という話も聞きました。
つまり、入浴介助がきついのは、あなたの体力の問題だけではなく、仕事の組み方の問題でもあるということです。
もし毎日入浴介助ばかりが続いていて、それを負担に感じるのであれば、現場のリーダーに仕事内容の変更を申し出てはどうでしょうか。
夏の浴室は、どれくらい暑いのか ― 暑さと水分補給

幸い私の施設では、入浴介助中に職員が脱水で休んだり、入院したりという事例はまだありません。
それでも、職員の間からは「夏場の長時間のお風呂の仕事はきつい」「たまに頭がふらふらするときがある」という声が聞かれます。
女性のパートさんは、ほぼ全員が水筒を浴室に持ち込んで、水分をとりながら作業を続けています。
私自身は、入浴介助業務の前・中・後で、休憩室で水分をとるようにしています。
喉が渇いていても、渇いていなくても飲むようにしています。渇きを感じてからでは遅いからです。
介助の後には、ミックスナッツなどでタンパク質も補給しています。
水分補給のコツについては、介護職の夏の水分補給にも詳しくまとめています。
職場の熱中症対策は、2025年6月から事業者の義務になりました
2025年(令和7年)6月から、暑い場所での作業について、職場の熱中症対策が事業者の義務になりました(労働安全衛生規則の改正)。具合が悪くなった人が誰に報告するか、そのあとどう動くかを、あらかじめ決めて働く人に伝えておく、という内容です。
私の施設では、体調が悪くなったら介護課長に伝えることになっています。ご自分の職場の決まりも、一度確認しておくと安心だと思います。
(出典:厚生労働省/労働安全衛生規則の改正・2025年6月1日施行)
入浴介助の服装 ― 私物の長ズボン&Tシャツと施設のエプロン

私の施設で支給されるのは、半袖のユニフォームだけです。ただし入浴介助のときは、その制服も脱ぎます。
浴室では、長ズボンとTシャツ、その上にエプロンです。ズボンもTシャツも私物で、エプロンは施設のものです。そして、着替えは必ず持って行きます。
浴室の中では、自分の汗と、利用者さんにかけるお湯とで、服はあっという間に濡れます。濡れたまま過ごすと、体が冷えて、疲れも残ります。
私が持って行くのは、ズボンをもう1着、Tシャツを2〜3着。入浴介助のあとには、必ず着替えます。
暑さ対策というより、体調を保つためです。
私の施設が長ズボンにしている理由
入浴介助は半袖・短パンという職場もあるようです。暑いのですから、そのほうが楽だと思います。
それでも私の施設は長ズボンです。
入浴中に排泄をされる方が、少なくないからです。短パンだと、汚物が直接、肌に触れてしまいます。
同じ理由で、足元も長靴にしています。次に書きます。
足元は長靴 ― サンダルにしない理由

浴室の中で、私も、ほかの職員も、サンダルではなく長靴を履いています。
理由は、長ズボンと同じです。サンダルでは足の甲や指がむき出しになり、汚物が直接、肌に触れてしまいます。
「入浴介助 サンダル」とネットで検索すると、滑りにくさや蒸れにくさを利点として挙げるものが多く出てきます。一方で、硬いサンダルは利用者さんの足に当たると危ない、という指摘もあります。
どちらが正しいということではないと思います。ただ、私の施設では汚物のことをいちばん重く見て、長靴になりました。滑りにくさは、そのうえでの利点です。
もうひとつ。長靴は個人単位で支給されています。
共用ではないので、水虫のような感染が職員のあいだで広がるリスクは、かなり少ないのではないかと思っています。もし共用の履物を使っている職場なら、ここは気にしたほうがいいかもしれません。
長靴は施設から支給されたものを履いています。自分で用意する職場なら、抗菌・防臭のタイプで、丈の長いものがよいと思います。丈が長いほうが、汚物が足にかかりにくいからです。
浴室以外の、ふだん施設で履く靴については、介護職の靴の選び方 ― 60代・現役7年目が行き着いた5つの条件に書いています。
いちばん怖いのは、事故です

正直に言うと、暑さより怖いものがあります。
入浴介助中のヒヤリハットや事故は、ほかの介護の場面と比べても多いと、7年経験して思います。
皮膚の剥離。転倒。転落による骨折。
私自身も、ストレッチャーでの入浴介助中に、利用者さんの肘やすねを床や側面に擦ってしまい、皮膚を剥離させたことが2回あります。
お年寄りの皮膚は、こちらが思うよりずっと弱いのです。ぶつけたつもりがなくても、擦れただけで剥がれてしまう方もいます。このことは実際に経験しないとわからないと思います。
もっと重い事例もあります。私が直接関わったことではありませんが、入浴中に利用者さんが急に体を動かされ、ストレッチャーから転落されたという話を聞きました。頭と腰を強く打たれ、頭のほうは無事でしたが、大腿を骨折されたそうです。
条件が重なるからだと思います。床は濡れている。利用者さんは裸で、つかまるところが限られる。移乗が続く。そのうえ、こちらは暑さで消耗している。
暑さ対策が、自分の体のためだけではないのは、ここです。自分がふらついた瞬間に、支えている方が転びます。
水分をとるのも、着替えるのも、結局は事故を起こさないためだと思っています。
腰と、かがむ姿勢

入浴介助にかぎらず、介護の仕事は中腰が続きます。
私も、体調がすぐれない日に無理をして抱え上げ、腰がギクッときたことがあります。
そういうときは、無理をしません。1日か2日、腰痛コルセットをつけてしのぎます。
コルセットは薬局でもネットでも手に入ります。医療用品メーカーのものだと、たとえばこういうタイプです。
ただ、普段はコルセットなどの補助具は使っていません。
日常的に筋トレとストレッチを続けていること、特に腹筋運動を繰り返してきたことが、関係しているのかもしれません。
常にできているわけではありませんが、利用者さんの移乗動作では、かなり気をつけています。
足を広げて立つ(体を支える面を広くする)
利用者さんを、できるだけ自分の体に引きつけてから持ち上げる
利用者さんにお辞儀をしてもらい、協力してもらって移る
3つ目がいちばん大きいと思います。一人で持ち上げようとしないこと。
腰のことは、介護職の腰痛|辞める前に休むという選択と傷病手当金と、市営ジムで筋肉はつくのかにも書いています。
4つの施設を歩いて分かった、浴室の違い
私は60歳から7年のあいだに、4つの職場を経験しました。
入浴の中身は、どこもよく似ていました。お一人の入浴時間は30分ほど。パート1人が利用者お一人を担当し、1日に4〜6名。ここは共通していました。
違ったのは、浴室の設計です。
空調があるかどうか。
動けるだけの広さがあるかどうか。
手すりや設備が安全にできているかどうか。
同じ「入浴介助」でも、きつさがまるで違いました。
これは求人票には書いてありません。時給や勤務時間は書いてあっても、浴室に空調があるかは書いていないのです。
ですから、もし職場を選ぶ機会があるなら、見学のときに浴室を見せてもらってください。
それでも、入浴の時間は嫌いではありません
きついことばかり書いてきましたが、私は入浴介助が嫌いではありません。
入浴の時間は、入浴に集中できます。ほかの用事に呼ばれることが少ないぶん、時間の経過が早く感じます。
それに、利用者さんとの会話が進みます。
裸のお付き合いというのでしょうか。フロアではあまり話されない方が、浴室では話してくださることがあります。
きついけれど、そういう時間でもあります。
まとめ ― 私の夏の対策は、この4つ
夏場の入浴介助で、私の対策はこの4つに落ち着きました。
意識的な水分補給 ― 喉が渇いていなくても、入浴介助の前・中・後に水分を飲む
着替えを持って行く ― ズボン1着とTシャツ2〜3着。終わったら必ず着替える
長ズボンと長靴 ― 暑さより、汚物と滑りを避ける
日頃の体力づくり ― 中腰に耐える体と、移乗動作の工夫
そして、もうひとつ。
あなたの職場で、熱中症対策がどうなっているか、確認しておくと安心です。
暑い夏こそ、利用者さんの体と同じくらい、ご自分の体もいたわってください。
※この記事は、介護の現場で働く私自身の経験と、公的機関が公表している情報をもとに書いています。体調に不安があるとき、腰や体の痛みが続くときは、無理をせず医療機関にご相談ください。また、職場のきまりは施設ごとに違いますので、実際の対応はお勤め先でご確認ください。プライバシーポリシー・免責事項


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